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AIエージェントとCopilotの違い|自社の業務にはどちらが合うか

公開: 2026年9月22日 10分で読めます(約5,637文字) 執筆: 北村 惇士(プロフィール)

M365 Copilot・Copilot Studio・自社構築のAIエージェント——この3つを並べて「どれが正解か」を探している方は多いです。ただ、「どれが優れているか」より「どの滞りに当てるか」で問いを立てたほうが、実際の選択に近づきます。

一言で答えるなら、M365 Copilotは「すでに使っているOfficeツールをそのまま賢くする」、Copilot Studioは「社内向けのチャットbotや申請フローを自分で設計して組む」、自社構築AIエージェントは「M365の外にある業務フロー全体をつないで自動化する」——この三つです。重複する部分はありますが、得意な滞りの種類と場所が異なります。

Microsoftのツール体系における「CopilotとAIエージェントの位置づけ」については、Copilot vs AIエージェントの違いも参照してください。本稿では特に「Copilot Studio との違い」に焦点を当てながら、業務の種類別の使い分けを整理します。

3つは競合ではなく、担当領域が違う

まず前提として、M365 Copilot・Copilot Studio・自社構築AIエージェントは「どれが正解か」という話ではありません。業務の滞りの種類と、それが起きている場所によって、適切な選択肢が変わります。

図1|3つのツールの得意領域と限界
3つのツールの得意領域と限界M365 CopilotCopilot Studio自社AIエージェント導入の手軽さ○ すぐ使える△ 設計が必要△ 構築期間ありM365内の業務補助◎ 最も得意○ 対応可△ 連携設定が必要社内FAQ・チャットbot△ 限定的◎ 最も得意○ 対応可外部システム連携× ほぼ不可△ コネクタ次第◎ 最も柔軟業務フロー全体の自動化× 不可△ 簡易なもの◎ 最も得意カスタマイズ性× なし○ 中程度◎ 高い

出典: 自社作成

上の表を見ると、M365 Copilotは導入の手軽さとM365内部での業務支援に強く、自社構築エージェントは外部システムとの連携や業務フロー全体の自動化に強い。Copilot Studioはちょうどその中間に位置します。この三つを「競合」として比較するより、「滞りの種類と場所に応じて役割を割り当てる」フレームで考えるほうが現実の選択に近いです。

M365 Copilotが向いている仕事

M365 Copilotは、Microsoft 365のライセンスに追加する形で使うアドオンです。Teams・Outlook・Word・Excelなど、すでに日常的に使っているツールの中に組み込まれる形で動きます。「新しいツールを覚える」必要がほぼないのが最大の特徴です。

特に得意な業務は次の通りです。

自社でM365 Copilotを使い始めた当初、最も実感したのは会議後の処理の変化です。以前は議事録を整理してTeamsに投稿するまでに一定の時間がかかっていましたが、Copilotの要約機能を使うようになってから、確認・修正の作業に絞れるようになりました。数値として出すより先に「やること」が減った感覚がありました。

ただし、M365 Copilotで自動化できるのはあくまでM365アプリ内に閉じた操作です。社内の基幹システムや外部のSaaS・独自フォームとのデータ連携には対応していません。「議事録を要約したうえで、案件管理ツールに自動転記する」という動作は、M365 Copilot単体では難しいです。

Copilot Studioが向いている仕事

Copilot Studioは、Microsoftが提供するノーコード・ローコードのbot作成ツールです。M365 Copilotが「既存アプリを賢くする」のに対し、Copilot Studioは「自分でチャットbotや自動化フローを設計して組む」ものです。

得意な使い方は次の通りです。

Copilot Studioの強みは、Power Platformと同じエコシステムに乗っている点です。Power AutomateやPower Appsとの連携が比較的スムーズで、M365内でやりたいことが明確なら、社内のIT担当者が設定・運用を担える場面があります。

一方で、M365の外にあるシステム(独自開発の基幹システム・他社SaaS・Webスクレイピングが必要な情報源など)との連携は、コネクタの有無によって制約を受けます。「Copilot Studioでできることの限界は、Power Platformが対応しているコネクタの範囲まで」と考えると見通しが立ちやすいです。

Copilot Studioの構築を専門家に依頼する際の視点については、Copilot Studio構築代行の選び方で整理していますので参照してください。

自社構築AIエージェントが向いている仕事

自社構築AIエージェントとは、特定のツールに依存せず、業務フロー全体を設計・自動化したものです。M365・Salesforce・freee・自社開発システムなど、複数のツールをまたいで動かすことを前提としています。

得意な使い方は次の通りです。

自社の運用では、議事録の要約から案件管理ツールへの転記・Slackへの通知・進捗確認の自動送信まで、一連の流れをエージェントで組んでいます。M365 Copilotだけでは途中で手作業が入っていた部分が、エージェントによってつながった形です。

ただし、自社構築エージェントは「設計する手間」と「保守の継続」が伴います。ノーコードで完結する話ではなく、業務の棚卸しと要件定義、そして継続的な改善が前提です。AIが不要と分かる業務を見極めるプロセスも、この設計フェーズで見えてきます。「AIが向かないと分かること」もまた、整理の成果です。

シーン別の使い分け

議事録・会議録を整理したい

TeamsやOutlookを中心に使っていて、会議後の整理・共有が手間になっているなら、M365 Copilotが最初の選択肢です。追加の設計なしにすぐ使い始められます。

「要約した議事録を自動でプロジェクト管理ツールに転記したい」という一歩先のニーズになると、Copilot Studio(Power Automateとの組み合わせ)か、自社構築エージェントが必要になります。滞りがどこで止まっているかを先に確認するのが順番です。

社内FAQや問い合わせの自動応答をしたい

「経費申請の手順を何度も聞かれる」「IT問い合わせが総務に集中している」といった課題なら、Copilot Studioが向いています。SharePointに社内規則を置き、Copilot StudioでFAQボットを作る構成は、M365環境があれば比較的スムーズに動かせます。

応答内容が社内文書に留まらず、外部データや複雑な条件分岐が必要になる場合は、自社構築エージェントの領域に入ります。最初は「よく聞かれる上位5問への自動応答」から試すと、設計の複雑さを抑えたまま効果を確かめられます。

承認・申請フローを自動化したい

休暇申請・見積承認・備品発注など、「誰かに確認を取って、OKなら次のステップへ」という流れなら、Copilot Studio + Power Automateの組み合わせが堅実です。M365の中で完結するなら、開発工数のバランスが取りやすいです。

一方で「申請がOKになったら、社外の発注システムにも自動で登録する」という動作が必要なら、自社構築エージェントか、Power Automateの有料コネクタを使う判断になります。「どこまでM365の中で完結するか」がこの分岐の基準です。

M365の外にあるシステムとデータをつなぎたい

基幹システム・独自のWeb受注フォーム・クラウド在庫管理・メール以外の外部連絡手段——こうしたM365の外にあるものを連携させたいなら、自社構築AIエージェントが本命です。M365 CopilotやCopilot Studioでは、コネクタのないシステムへのアクセスに制限があります。

この領域を自社で内製するか外部に依頼するかは、社内にITリソースがあるかどうかで分かれます。タスク分解と滞りの特定を先に行うことで、どこを内製でカバーできるかが見えてきます。

3つを組み合わせた使い方

実際の現場では、一つのツールだけで完結するケースは多くありません。典型的な組み合わせパターンを整理します。

パターンA: M365 Copilot + 自社構築エージェント

Copilotで会議を要約し、エージェントが案件管理ツールに転記してSlackに通知する。それぞれの得意を直列につなぐ構成です。M365 Copilotが「生成」を担い、エージェントが「連携と転記」を担います。

パターンB: Copilot Studio + 自社構築エージェント

Copilot StudioでTeams上のFAQボットを運用し、対応しきれない問い合わせはエージェントが外部システムを参照して回答する。窓口をCopilot Studioに統一しながら、バックエンドの処理をエージェントに委ねる形です。

パターンC: M365 Copilot + Copilot Studio

Copilotでメール・文書の補助を行い、Copilot Studioで申請フローを自動化する。M365の中だけで業務を完結させたい場合の構成で、外部システム連携が不要なケースに向きます。

図2|ツール選定の判断ステップ
ツール選定の判断ステップ1滞りの場所を特定する議事録・メール・申請・外部連携など、どの業務で時間が詰まっているかを先に洗い出す2M365の内か外かを確認するTeams・Outlook・SharePointの範囲内ならCopilot系が向く。外のシステムが絡むなら自社構築を検討3自社で設定・保守できるかを問うIT担当が社内にいるか外部に頼む前提かで、Copilot Studioか代行かが分かれる41業務から着手して検証する小さく始めて効果を確かめ、そこから横展開する順番が定着を早める

出典: 自社作成

組み合わせを考える前に大切なのは「どの滞りから手を打つか」の優先順位です。一度に全部を自動化しようとすると、設計が複雑になり途中で止まります。業務の棚卸しと優先順位のつけ方で整理している順番を参考に、1フローずつ着手することが定着を早める近道です。

選ぶ前に確認するチェックリスト

どのツールを選ぶか迷ったときは、次の問いに順番に答えてください。

Step 1: 滞りはどこにありますか?

Step 2: 社内でITの設定・保守を担える人はいますか?

Step 3: M365以外のシステムが業務に関与していますか?

Step 4: まず試せる範囲はどこですか?

このチェックリストで「Step 3が外部システムあり、かつStep 2が社内リソースなし」に当てはまる場合、自社構築エージェントの代行依頼が現実的な出発点になります。

ツールより先に整理すること

どのツールを選ぶかより先に、「どこで時間が詰まっているか」「それはデータの問題か、判断の問題か、連絡の問題か」を分けることが、実際の選択を早めます。

ツールを先に決めてから業務を当てはめようとすると、「Copilot Studioを導入したが使いこなせていない」「M365 Copilotのライセンスを取ったが、会議要約しか使っていない」という状態になりがちです。この状態は、ツールの課題ではなく、設計の順番の課題です。

自社の業務の滞りがどこにあるかを先に棚卸しし、そこに最も薄く当てられるツールを選ぶ——この順番が、AI導入を現場に定着させる上で最も効きます。関数・RPA・AIの適材適所を判断するプロセス自体が、AI導入の最初の価値です。

自社の業務フローがどのツールに向いているかは、まずAIエージェント比較ハブで整理できます。

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