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生成AIとは——「探すAI」と「作るAI」の違い

公開: 2026年9月8日 4分で読めます(約2,002文字) 執筆: 北村 惇士(プロフィール)

ひとことで言うと

指示に応じて、文章・画像・表・コードなどを新しく作り出すAI。データベースから答えを探すのではなく、その場で組み立てて返すところがこれまでのシステムと違います。

社長や役員から「うちもAIを入れたい」と言われたとき、その「AI」がほぼ生成AIを指すようになったのは、ここ数年のことです。言葉が先に広まった結果、何ができて何ができないのかが曖昧なまま導入の話が進み、途中で止まる会社を何度も見てきました。

最初の一歩として、生成AIが何をするものなのかを押さえておきます。

「探すAI」と「作るAI」

これまで会社に入っていたシステムの多くは、あらかじめ決めた場所から答えを探してくるものでした。在庫データベースを引く、条件に合う顧客を抽出する、帳票を決まった形式で出力する。どれも、答えはすでにどこかに存在しています。

生成AIは違います。答えをその場で組み立てます。

「先週の議事録から、先方への確認事項だけを箇条書きにして」と頼めば、そんな箇条書きはどこにも保存されていないのに、読んで、選んで、書き出してきます。文章だけでなく、画像・表・プログラムのコードでも同じことが起きます。

この「作る」という性質が、便利さの理由でもあり、注意が要る理由でもあります。探してきた答えは元データを見れば検算できますが、作られた答えは元がありません。だから確認の仕方が変わります。

部活の現場でいうと

練習と試合では、頭の使い方がまるで違います。

練習メニューは、決まっています。今日は何本、どのフォームで。答えが先にあって、それをこなす。

試合は違います。誰が前を泳いでいるか、残りが何メートルか、体がどこまで残っているか。その場で組み立てないと、一かきも決まりません。

私は4歳から水泳をやっていましたが、練習のタイムが良くても試合で勝てない子は、たいていここでした。決まったメニューをこなす力と、その場で組み立てる力は別物です。

生成AIが引き受けるのは、試合のほうです。だから業務に当てるときも、まずここを見ます。練習メニューの仕事なら、関数やRPAのほうが速くて確実。 毎回条件が違って、読み取りと判断が要る仕事が、生成AIの領分です。

得意なこと、苦手なこと

導入相談では、この線引きを最初に共有しています。

生成AIの領分別の道具の領分
仕事の性質毎回少しずつ違う毎回まったく同じ
入力文章・画像・音声など形が揃わないもの表形式で揃っているもの
求める結果下書き・要約・案出し・分類正確な計算・確実な転記
例議事録から要点を抜く、問い合わせの一次返信案消費税の計算、決まった様式への転記

売上の合計を出すのに生成AIを使う理由はありません。表計算の関数のほうが速く、間違えず、誰でも検算できます。逆に「この問い合わせは苦情か質問か」を仕分けるのは、条件分岐で書き切るのが難しく、生成AIが向いています。

全部をAIにする必要はない、というのはこの意味です。業務をタスクに分解して、ばらつきのあるところにだけ当てる。それが結果として一番安く済みます。

そのまま業務に載せると、たいてい止まる

試しに使ってみた担当者が「思ったほど使えない」と言って離れていく——導入の初期にいちばんよく起きる展開です。原因の多くは、AIの性能ではなく渡した情報の量にあります。

社外の人に仕事を頼む場面を想像すると分かりやすくなります。優秀な人でも、自社の商習慣・前任者の判断・社内の呼び方を知らなければ、当たり障りのない答えしか返せません。生成AIも同じで、素の状態では自社の事情を何も知りません。

ここを埋める作業には名前がついています。頼み方を工夫するのがプロンプトエンジニアリング、渡す情報のほうを整えるのがコンテキストエンジニアリングです。多くの会社でつまずくのは前者ではなく後者のほうです。

会社として使い始めるときの順番

技術より先に決めておくと後戻りが減るものが、二つあります。

ひとつは、入力してよい情報の範囲です。顧客名や個人情報を入れてよいのか、どのサービスなら許すのか。使い始めてから決めると、すでに入れてしまった人が出てきます。判断の材料は入力データはAIの学習に使われるのかにまとめました。

もうひとつは、最初に当てる業務を一つに絞ることです。全社に配って各自の工夫に任せると、うまくいった人の使い方が誰にも引き継がれません。ひとつの業務で「この頼み方だとこう返る」を社内に残せた会社が、次に進めています。

言葉の意味が分かったら、次は中の仕組みです。生成AIの本体であるLLM(大規模言語モデル)から読み進めると、なぜ間違えるのか・なぜ社内資料を知らないのかが順につながります。

顧問先によく聞かれること

生成AIとChatGPTは同じものですか。
同じではありません。生成AIは技術の総称で、ChatGPTはその技術を使ったサービスの一つです。ほかにClaude、Gemini、Copilotなどがあり、それぞれ得意分野と契約条件が違います。社内で使うサービスを選ぶときは、機能より先に契約条件(入力したデータの扱い)を見ることをおすすめしています。
自社の業務にも使えるか、どう判断すればいいですか。
その仕事が「決まった手順の繰り返し」なら、生成AIより関数やRPAのほうが安く確実です。逆に「毎回少しずつ違う」「文章や状況の読み取りが要る」仕事は生成AIの領分です。判断の分かれ目は、仕事の量ではなくばらつきの有無にあります。
本ページの内容は公開時点の一般的な整理です。AIサービスの仕様・料金・データの取り扱いは 提供各社が随時変更するため、契約・設定の判断は必ず各公式サイト(一次情報)と自社の契約条件をご確認ください。 自社実績に言及する場合は社内集計値であり、事例は守秘義務に基づき抽象化したモデルケースを含みます。