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シャドーAIとは——会社が把握していないAI利用が生まれる理由

公開: 2026年9月8日 3分で読めます(約1,539文字) 執筆: 北村 惇士(プロフィール)

ひとことで言うと

会社が把握していないところで、社員が個人の判断でAIを使っている状態。禁止を強めるほど見えにくくなり、契約条件の確認も効かなくなります。

会社としてはAIを禁止している。それでも、現場では使われている——この状態を、シャドーAIと呼びます。

かつて、会社が把握しないクラウドサービスが業務に入り込んだのと同じ構図です。違うのは、入り口がブラウザ一つで済むぶん、広がりが速いことです。

禁止すると、見えなくなる

多くの会社は、情報の扱いが分からないうちは全面禁止という判断をします。慎重な判断であって、それ自体はおかしくありません。

ただ、この状態を長く置くと、次のことが起きます。

仕事が速くなる道具を、人は結局使います。会社の端末で使えなければ、個人のスマートフォンで使います。会社が契約していないサービスなので、入力データの扱いも確認されていません。何を入力したかの記録も残りません。

禁止しているから安全ではなく、禁止しているから見えないという状態です。禁止する前より、把握できる情報は減っています。

子育ての現場でいうと

取り上げたゲーム機ほど、隠れてやられます。

布団の中で、こちらが寝たあとに。時間も分からず、何をやっているかも分かりません。取り上げたことで、把握できない時間が生まれたという状態です。

うちで効いたのは、居間に置いて時間を決めることでした。目の届く場所でやるなら、様子が見える。長くなれば声をかけられる。何をやっているかも分かります。

AIも同じで、会社が用意しないと個人の端末で使われます。契約条件も確認されず、何を入力したかの記録も残らない。禁止は、危険を消すのではなく見えなくします。

まず使える一つを出して、目の届く場所に置く。線を引くのは、その次です。

どこに現れるか

現場で聞いていると、だいたいこのあたりから始まります。

どれも、悪意はありません。むしろ、仕事を速く終わらせようとする姿勢から出ています。ここを処分の対象として扱うと、次からは隠れるだけで、行動そのものは変わりません。

責めずに、表に出す

現実的な進め方は、この順です。

① 使っている前提で聞く。「使っている人はいますか」ではなく「何に使えると助かりますか」。犯人探しの形にすると、答えは返りません。用途が集まれば、公式に用意すべき環境も見えてきます。

② 使える環境を先に出す。ルールだけ配って環境を出さないと、状況は変わりません。会社として契約したサービスを、まず一つ用意します。速く安全な道が用意されれば、わざわざ遠回りする理由が消えます。

③ 線を書く。入れてよい情報、入れない情報、迷ったときの窓口。ここは社内AI利用ルールの話になります。

④ 出てきたものを責めない。表に出したほうが得だ、という扱いを最初に作れるかどうかで、その後の把握しやすさが変わります。

「使わせない」が守っていないもの

禁止の期間が長引くと、もう一つ静かに進むことがあります。

社内に経験が溜まりません。どの業務に効くのか、どこで外すのか、何を渡せば精度が上がるのか。使っている会社は、この判断ができる人が育っています。禁止している会社では、解禁した日から手探りが始まります。

情報を守ることと、判断できる人を育てること。両方を同時に進める形が、全面禁止でも全面自由でもない置き方です。使ってよい範囲を狭く始めて、確認しながら広げる。この進め方なら、どちらも取れます。

顧問先によく聞かれること

実際に使われているか、どう確かめますか。
犯人探しにすると出てきません。「使っている人がいる前提で、何に使えると助かるか」を聞く形にしてください。責める形で聞けば、答えは返らず、把握できないまま続きます。
見つかったら、どう対応すべきですか。
処分から入ると、次から隠れます。まず、その用途が会社として許せる範囲かを見て、許せるなら公式の環境へ移してもらう。許せないなら、代わりにどうするかを一緒に決める。表に出したほうが得だと分かる扱いにしてください。

出典(一次情報)

  1. 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(令和5年6月2日) 個人情報保護委員会

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