AI利用料の考え方——何が費用を動かすのかを、先に押さえる
AIの費用は、利用量に応じた課金・定額・人数課金の組み合わせで決まります。量に効くのは処理の回数と、一回あたりに渡す情報の量です。
AIの費用を社内で説明しようとすると、途端に難しくなります。課金の形が一つではなく、何が量に効くのかも見えにくいためです。
金額そのものはサービスごとに違い、改定もされます。ここでは、何が費用を動かすのかという構造のほうを押さえます。
課金の形は三つ
実務で出てくるのは、この三種類か、その組み合わせです。
利用量に応じた課金。処理した量に比例します。単位はトークンで、入力と出力の両方が対象になるのが一般的です。業務システムに組み込む場合は、この形になります。
定額。月ごとに決まった額を払い、上限まで使えます。個人や部署単位で画面から使う場合に多い形です。上限を超えたときの扱いは、速度が落ちる、翌月まで待つ、追加課金になる、とサービスによって違います。
人数(座席)課金。利用する社員の数で決まります。全社に配る場合に読みやすい形ですが、実際に使う人が一部に偏ると、使っていないぶんも払うことになります。
社内で「AIの費用」と一括りにすると議論が噛み合わないのは、部署ごとにこの三つが混ざっているためです。
習い事の現場でいうと
負担は、月謝だけでは読めません。
送り迎えにかかる時間、道具の買い替え、進級のたびに増える練習日、合宿や大会の遠征。始めるときに見ていたのは月謝の欄だけで、実際に効いてきたのはそれ以外でした。四人ぶんとなると、なおさらです。
AIの費用も、同じ読み方をします。単価より、毎日何を運ぶ設計になっているか。判断基準を毎回まるごと送る作りなのか、必要な部分だけ取り出して渡す作りなのか。件数が増えたときに効いてくるのは、こちらです。
見積を受け取ったら、想定件数と、一回あたりに渡す量を聞いてみてください。この二つが書かれていない見積は、始まってから膨らみます。月謝だけが書いてある案内と、同じ性質のものです。
量を動かすのは、二つだけ
利用量に応じた課金の場合、費用を動かす要素は実質二つです。
処理の回数。何件処理するか。これは業務量に比例するので、読みやすい部分です。
一回あたりに渡す情報の量。ここが見落とされます。同じ一件でも、判断基準を毎回貼りつける設計と、必要な部分だけを検索して渡す設計では、渡す量が変わります。長い会話を続けると、それまでのやり取りも毎回渡されるため、後半ほど一回が重くなります。
長い資料を毎回丸ごと渡す作りは、件数が増えたときに効いてきます。同じ内容を繰り返し送らずに済む設計になっているかどうかが、運用に入ってからの差になります(RAG)。
見積で聞くこと
外部に構築を委託する場合、単価だけを比べても実際の費用は読めません。確認しておくのは、この四つです。
- 想定している処理の回数。月に何件で計算しているか
- 一回あたりに渡す情報の量。何を毎回渡す設計になっているか
- 想定を超えたときの扱い。止まるのか、追加になるのか
- 構築費と運用費の切り分け。どこまでが一度きりで、どこからが毎月か
四つとも答えが返ってくるなら、設計が固まっています。「使ってみないと分かりません」で止まる場合は、まだ設計の前段階です。
費用より先に見るもの
社内で稟議を通すとき、費用の大小だけで議論すると結論が出ません。比べる相手が要ります。
その業務に今かかっている時間と、それを担っている人の時間の価値。AIに任せた場合に残る確認の手間。この二つを並べて、はじめて判断ができます。
そして、効果が出ているかを後から測れる形にしておいてください。感触では、続けるかどうかの判断ができません(AIの精度検証)。小さく始めて測る、という進め方が結局いちばん安く済むのは、この判断材料が手に入るからです。
当社の費用の考え方は料金の考え方に置いています。金額は業務の内容で変わるため、個別にお出ししています。
顧問先によく聞かれること
- 定額のプランにしておけば、費用は読めますか。
- 読みやすくはなります。ただし定額プランにも利用量の上限が設けられていることが多く、超えた先の扱いはサービスごとに違います。業務システムに組み込む場合は、そもそも定額の対象外で、利用量に応じた課金になることが一般的です。
- 見積を比べるとき、どこを見ればよいですか。
- 単価より、想定している処理の回数と、一回あたりに渡す情報の量です。ここが書かれていない見積は、運用が始まってから膨らみます。想定を超えたときにどうなるかも、契約前に確認してください。
出典(一次情報)
- Counting tokens(トークンの数え方) OpenAI API Docs
解釈を挟まない一次情報だけを挙げています。仕様・条件・制度は改定されるため、 判断に使う際は必ずリンク先の最新版をご確認ください。